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復興の名脇役!阪神・淡路大震災にみる銀行の災害対応

こんにちは。

昨日(1/17)で阪神・淡路大震災から23年を迎えました。この震災は市民に甚大な被害をもたらし、23年を経た今も尚、その被害および復興の過程は脈々と語り継がれています。しかしこの震災の裏で、金融機関が市民のお金を守るべく執念を燃やした話はあまり知られていないようです。今回は阪神・淡路大震災と金融機関の苦闘についてのお話です。

 

阪神・淡路大震災 - Wikipedia

 

 

この震災で死者およそ6,400名・負傷者およそ44,000名と甚大な人的被害が発生しました。さらに以下は家屋・建物等に関する主要な被害データです。

 

焼損棟数(兵庫・大阪・京都・奈良):7,483

全壊棟数(兵庫・大阪・京都・徳島):104,906

内閣府, 阪神・淡路大震災の概要と被害状況)

 

多数の一般家屋が倒壊・焼失し、実に30万人以上の住民が避難生活を余儀なくされることとなりました。被害に見舞われたのは金融機関とて例外ではありません。以下、兵庫県内の銀行に関しての被害状況です。

 

銀行については、最大450店舗が休業兵庫県下607店舗中75%)、各種オンライン機能も麻痺したが、2月1日までには全店舗業務再開した。また、郵便局、農協等金融機関の被害も大きかった。

(内閣府,阪神・淡路大震災教訓情報資料集【04】治安・金融維持対策)

 

 

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(画像:日本銀行神戸支店HP)

金庫内の紙幣入りダンボールが散乱しています。

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さくら銀行(現・三井住友銀行)の様子(画像:神戸市 阪神・淡路大震災「1.17の記憶」)

 

取るものも取りあえず避難した市民の多くは、現金および印鑑・通帳を持ち合わせていませんでした。さらに銀行の建物もATMも破壊された以上、お金を引き出すことは物理的にも困難です。この危機的な状況を打開すべく、各金融機関は総力を挙げて対処に当たります。この対応について、日本銀行と民間銀行に分けて見ていきます。

 

日本銀行の対応は大きく以下の通りです。

  1. 損傷した紙幣を交換
  2. 金融特例措置により、民間銀行に対し印鑑・通帳なしでの預金払い出しに対応するよう要請
  3. 日本銀行神戸支店において、民間金融機関の臨時窓口を提供

 

 震災では火災により多数の紙幣・硬貨が焼損・破損しました。日銀はこれらを鑑定の上、新券との引き換えに応じました。震災後の半年間で1,800件の引換えがあり、その金額は8億円(紙幣14万枚、硬貨113万枚)に上ったといいます。

 日銀は民間銀行に対して本人確認が取れれば証書・通帳・印鑑なしでの預金払い戻しに応じ、さらに期限前の定期預金についても払い戻しに応じるよう要請します。ワープロが故障していたため、この特例は手書き原文によって発令されました。

 さらに日本銀行神戸支店において、各金融機関の職員を呼び臨時窓口を設置しました。現場では自社の札を持った金融機関が並んで顧客対応に当たりました。

 

この措置は1月20日~2月3日まで続けられ、この間の来店客数は約3千名、そのうち約半分の方が預金を引き出し、総額15億円に達しました。(日本銀行神戸支店HP)

 

 

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(画像:当時の様子,日本銀行神戸支店HP)

 

また民間銀行の対応は大きく以下の通りです。

  1. 印鑑・通帳なしでの預金払い戻し(上記
  2. 仮設店舗での対応
  3. 住宅ローン利用客への返済猶予および返済計画の長期化

 

以下、兵庫銀行の対応について神戸新聞NEXTより抜粋。

 

三宮の兵庫銀行本店。ビルは損壊し、約四百メートル離れた事務センターに対策本部を設けた。ホストコンピューターの回線が傷み、全店舗のCD、ATMが使用不能に。被災店舗は四十五を数えた。「非常時だ」。頭取の吉田正輝は、支店長権限で五十万円を上限に払い戻しに応じるよう命じた。

<神戸新聞NEXT,地域金融のあした 第1部 震災が生んだ銀行 (3)ライフライン>

 

 

自らも自宅を失った職員が現場に出て対応に当たった例も少なくなかったようです。

 

また銀行協会は手形について、不渡りを出しても銀行取引停止を猶予することを発表します。通常、手形の不渡りを2度出すと取引停止・倒産が事実上確定しますが、これは震災企業に配慮した特例でした。

 

当然ながらこの震災による経済損失も莫大な金額となったわけですが、それはまたの機会に解説しようと思います。

 

それでは今回はここまで。