突然だが、あなたは真面目な人でしょうか。この問いかけのせいでなんとなく嫌な感情が生まれたあなたにこの記事を読んでほしいと思います。そうでない人には響かない話かもしれません。
筆者が小学生の時、ホームルームで「隣の人の長所を挙げよう」というワークをしました。隣の子は迷わず答えました。「真面目なところ。」嬉しくありませんでした。十数年後、私はとある地銀の内定者懇談会にいました。人事の社員が私を他の内定者に紹介してくれました。社員は私をこう紹介しました。「彼は真面目で・・・云々。」十数年経ってもやっぱり嬉しくありませんでした。
「真面目」ってなんだよ。なんか貶されてない?
広辞苑で引いてみます。
1.真剣な態度・顔つき。本気。
2.まごころがこもっていること。誠実なこと。
否定的なニュアンスはありません。ではなぜ真面目という響きがここまで劣等感を刺激するのでしょうか。他にどんな褒め言葉が考えられるでしょうか。
美人・イケメン・たくましい・賢い・気が効く・面白い.etc
何か見えてきた気がします。それはこれらが質的な特徴を表す言葉であることです。一方で真面目というのは、「真剣に〇〇する・真心を込めて〇〇する」という、〇〇を増幅する言葉でしかありません。英語で言えば、”very 〇〇”ですな。
実は「真面目」とは、何の特徴も無い空虚な褒め言葉なのです。
ある企業が上に挙げた質的な特徴を持つ学生を採用すれば、環境に何らかの変化が必ず生まれます。美人を雇えば職場に美人社員が一人加わることは約束された事実です。しかし真面目な学生はどうでしょう。「真面目に〇〇する」という事実からだけでは、いかなる変化も保証されません。就職活動で「真面目さ」が評価されない理由はここにあるのです。
では真面目な人間はどうすれば良いのか。一体どう生きていけというのでしょう。一つだけ救いがあります。それは真面目さが単体で意味をなす特徴でないものの、成功に必要な要素の一つであるという事実です。
藤沢数希氏が「ぼくは愛を証明しようと思う」で言っています。(正確には登場人物の永沢さんが。)
モテとは、ヒットレシオ×試行回数である。
ヒットレシオとは、要するに確率のこと。ブサメンよりイケメンが、不潔より清潔な人間の方がモテる。試行回数は文字通り、チャレンジする回数のことです。当の本人は気づいていないでしょうが、真面目で愚直な人間は自然と試行回数を稼ぎます。これは真面目な人間が持つ資産です。もっと誇りましょう。
あとはヒットレシオを上げるべく努力するのみです。そうして真面目なあなたが質的な変化を遂げ、真面目以外の魅力を持つようになった時、周りからの評価はもはや「真面目」どころでは表現しきれないはずです。
それができた時、あなたは初めて真面目なあなたを好きになれるでしょう。